<注・これは舞シナリオの冒頭の部分です。>
何がなんだか、分からなかった。
今、目の前で起こった光景、に。
昏い、静寂に満ちた学校の廊下。
そこに立つ、片手に剣を持った少女。
彼女は壁に背をもたれて座っている俺を一瞬見つめると、何も言わずに背を
向けた。
「おい、待てよっ」
「…………」
「一体何だったんだ、今のは?」
「…………」
「おいっ、待てって! こんなワケの分からないことってないだろっ!?」
俺の声は、彼女の背に当たると――微塵に砕ける。
ふと。
「…………」
彼女の足が、静止した。
振り返る。
そして、その無表情な相貌の小さな唇から、一言。
「…………私は、デュエリストだから」
………………。
「………………は?」
一方その頃――、
「あはははははーっ、世界の果てを見せてあげますーーっ!」
いかにも怪しいスポーツカーに乗った倉田佐祐理が、夜の高速道路を大爆走
していたという………。
どっとはらい。
1999.7.28 UP