<お読みになる前のご注意>

 この作品はフィクションつーかニトロプラスのファン及び、スタッフの方は
怒らないでください。イヤ本気で(汗)


   暗殺その0 『オープニング』

 アインはその扉を静かに二回ノックした。
 己の主人であるサイス=マスターの部屋の扉を。よどみなく。
「…………」
 返事は――無い。
 出掛けたのだろうか。いや、それは有り得ない。
 その証拠に扉の向こうには僅かであるがサイスの気配が感じられる。
 では、何故?
 ――そう思った瞬間。
「――!」
 向こう側の気配が僅かに乱れた。闘いの気配。
 この向こうに敵がいる!
 アインは素早く腰からナイフを抜き放って、素早く扉を蹴破る!
 そこには、

「ぬおりゃあああああああああああああああああああああッッ!!」

 サイス=マスターは正に闘っていた。
 相手はバ○オ・ハザードのラスボスのように改造されたツヴァイ。またサイ
スの悪癖(人体実験)の被害にあったらしい。
 手四つで力比べしている、その光景はハッキリ言って異様。つーか怖い。

「あッ、アインッ、アインンッッ! バッ、バッ、バズーカッ! バズーカッ
早くッッ!! バズッ、バズーカッだっつーの、バズーカッッ! コルトパイ
ソンでも可ッッ!!」
「…………」

 アインは軽い眩暈を感じながら、ゆっくりと部屋を出ていく。
 無表情な相貌に、密度の濃い縦線を入れながら。

「バッ、バッ、バズーカッ! バズーカッ、バズーカッッ!! バッ――」

 ――パタン。
 後ろ手にサイス=マスターの部屋の扉を閉めてアインは静かに――だがあか
らさまなカメラ目線で静かにコチラを向く。

「大変失礼しました。――それでは」

 その横からぴょんッ、とキャル(低年齢バージョン)が飛び出して。

「It's!!(はじまるよっ!!)」


(『Liberty Bell March』を鳴り響かせながらOPタイトルが地面から現れる)
 

  『暗殺者への道〜Phantom of Flying Circus』
 

(タイトルの横をマグワイヤの顔を載せたニワトリが飛ぶが、逆狙撃中のツヴ
ァイに打ち落とされて、BGMエンド)


   暗殺その1 『アインの隠された特技』

「……失礼します。インフェルノ幹部デカタレ乳でスピード狂のクロウディア
さん」
「ナニかしら? 無愛想・無表情の貧乳娘のアイン(目を逸らしながら)」
「今月は一体何人の人間を殺せばいいのか。私の目を見てハッキリ言って下さ
い」
「600×30÷10000×200÷9よ(さらっと)」
「20人ですね(即答)」
「珠算1級ッッ!?(がびーんっっ)」

元ネタ 柴田亜美(汗笑)

                         (投稿者 西山英志)


   暗殺その2 『俺達P・h・a・n・t・o・m!』

 僕達は路地裏に身を潜め、今回の目標であるドン・ルシオが現れるのを待っ
た。アインはクロークコートを脱ぎ捨て、鞄の中から二つのゴルゴ13のお面
を取り出すと、その内の一つを僕に手渡した。

「アイン…どうしてもやるのかい?」

 僕は猛烈に嫌そうな顔でアインに訊いたが、彼女はいつもの冷めた口調で、
「当然でしょ」とだけ答えた。
 とほー、やっぱりやるのか…。
 アインの相方を務める様になって数ヶ月が経つけど、これ、何度やっても慣
れないよな〜。
 僕は、手の中に収まっているゴルゴ13のお面に苦笑を投げ掛ける。
 縁日の夜店で売っている様な粗末なお面は、「お前の苦悩など知った事か」
と咎めている様に見えた。

「来た」

 外の様子を伺っていたアインが、目標の出現を告げる。
 僕はお面を被った。
 彼女も同じ様に被った。
 薄暗い路地の上、ゴルゴ13のお面を被った男女が二人…。
 うう、はっきり言って異様だよ…。
 しかし、そんな事を考える暇を与えず、アインは大通りへ飛び出す。
 慌てて僕も続いた。

 目標のドン・ルシオ目指して、アスファルトを蹴る二人のゴルゴ13。
 ルシオの周囲を固めていたボディーガード達が、接近してくる二人の人間に
気付き、己の主人を守る様に動く。
 何かを叫んでいるボディーガードも居る。何と叫んでいるかは聞き取れなか
ったが…。

 僕たち二人は、彼らの前方10mくらいの所で停止した。
 ボディーガード達は、主人の盾となりつつ自分の胸に手を入れ、硝煙の匂い
を漂わせる得物に触れる。
 両者の間の空気が、緊張で歪んでいる様に見えた。
 正に一触即発の雰囲気だ。

「ツヴァイ、行くわよ…」
「ああ…」

 小声で彼女が言った。
 僕は頷きつつ答えた。
 まだ慣れないけど、こうなった以上、やるしかない!

 せーの!

「命!」

 僕とアインは、絶妙のタイミングで体文字を体現する。
 その時、確かに二人の脳波はシンクロしていたと思う。
 それ程までに完璧なタイミングの『命』だった。

 シーン――。

 重苦しい空気。
 居心地の悪い沈黙の上を、冷たい風が流れていく。
 やばっ、思いっきり外した? …と思ったその時!

「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!」

 突然湧いた爆笑の渦。
 みんな笑っていた。
 ドン・ルシオも、彼のボディガードも、道行く人々も。

「GREAT!」
「VERY NICE!」

 良かった〜。ウケてるよ〜。

 投げられる『お捻り』を、僕らは服の裾を広げて受け止める。
 おお! こんなにくれるなんて!
 東海岸の人達は気前がいいや!
 
 

 新世代の犯罪組織インフェルノ――。
 彼らの活動資金は、組織のメンバーが道端でやってるパフォーマンスで稼い
でいるとかいないとか――。

                       (投稿者 Foolさん)


   暗殺その3 『行く手に待つもの』

 俺たちは得体の知れないものと戦っていた。
 そう、『得体の知れないもの』とだ。

 残弾は残り少ない。
 隣ではアインが肩で息をしている。
 …これから、どう切り抜ければいいのか?
「アイン…。これからどうするんだ?」
 当のアインは、無言であたりを警戒している。
 ふと気が付くと、アインの首から出血していることに気が付いた。
「おいアイン、首を怪我してるぞ。いつやられた?」
「…………」
「アイン…? おい、アイン!!」
 無理やり肩をつかんで振り向かせようとするが、振り解かれてしまう。
 いったい、どうしたって言うんだ?
 いつものアインではない。
 しかし、よく見ると首の出血は何かの模様に見えるが…。

 …って、これはまさか…!

「…見たわね?」
「…なっなななななな、なにをっ!?」
「…見たのなら、あなたも逃げられないわ。」
 勘弁してくれ。
 あいつら相手に、生き残れる自信は、無い。
「これでもう、あなたも私と一蓮托生よ」

 …そのときのアインは、とても澄んだ笑顔をしていた…。
 そう、首から血を流しつづける、あの生贄の烙印と共に…!!

                           ……Go to BadEnd?

 元ネタ ベルセルク(笑)

                         (投稿者 冬月さん)


   暗殺その4 『アイン女子高生化計画』

「なあアイン」
「何? ツヴァイ」
「お前が作り物の笑顔でも、クラスの人間に溶け込むのは悪くないと思ってる」
「別にしたくてしている訳じゃないわ」
「なら何もガングロにならなくてもいいと思うんだが?」
「……」
「……」
「さ、明日の用意を」
「それから最近妙に化粧代とアクセサリ代の出費が……」
「明日は友達と遊びに行く予定があるの」
「ほほぅ、どこへだ?」
「ジュリ○ナ東京……」
「……」
「……」
「そこは、潰れたはずだが」
「あら、そうだったの?」

 アインのダメ女子高生化、着々と進行中の模様。

「そんな訳でお前達の目的はアインとツヴァイだが……」
「マスター」
「何だ?」
「終わったら、原宿行っていいですか?」
「えー、あたし六本木行きたいー」
「あら、渋谷が良くない?」
「ナンパされちゃったらどーしよー」
「朝帰りしてみれば?」
「きゃー、だいたーん」

 こっちのダメ女子高生化も進んでいる模様。

                        (投稿者 beakerさん)


   暗殺その5 『ファントムのわかりやすいあらすじ』

「エレンッッ!」
「玲二ッッ!!」
 キャルが鎖鎌を握ったッッ!!

 以上。

「「なんだそりゃああああああああああああッッ!!」」(←アインは無言)

 元ネタ ファンロード(…多分・笑)

                         (投稿者 西山英志)


   暗殺その6 『そこに待つ罠』

 ちゃ〜らららちゃ〜ら〜らら〜♪
 ちゃらららららちゃ〜ら〜らら〜♪

 電話が鳴っている。
 …これは携帯だな。
 にしても、今何時だ?
 もうすぐ23時か…。
 アインを起こす前に、さっさと出るか。

「はい、もしもし?」
「あっ、ツヴァイ?おっはー!!」

 耳を劈くほどの甲高い声。
 思わず、電話から耳を遠ざける。
 …この声は、クロウディアか。

「…クロウディア。酔っているのか?」
「あったりまぇよぅ!!これが飲まずにいられますかって!!」
「俺は明日任務があるんだが」
「…だから?」
「用件があるなら、手短に」
「無いわよ」

 …何?

「用件が無いのに、何で電話を?」
「暇だったから」

 …何だって?

「…あのな」
「いいから、いいから!!あのね…!!」

 …………………!
 …………………………!!
 ………………………………………!!!

 い、いったいいつまで続くんだ…!!

「ふぁ〜あ。そろそろ眠くなったから寝るね〜。おやすみぃ〜」
「あ、ああ…。お休み…」

 やっと終わったか…。
 今何時…って、ぐあっ!?
 2時回ってやがる!!
 くっ、さっさと寝ないと明日の任務に差し支えが出る。
 とっとと寝ちまおう…。
 

       翌日。
 

「…どうしたの、ツヴァイ?大丈夫?」
「…あ、ああ。何とか…」
「自分の体調の管理もできないんじゃ、一流とは言えないわよ」
「…わかってる…」

 くそう、何で俺がこんな目にっ………!!

 結果は何とか任務に成功はしたものの、その日は終日アインに冷たい目で見
られていた…。
 俺が何をした。
 誰か、俺に教えてぷりーづ。
 

                         ギャフンEND(笑)

                         (投稿者 冬月さん)


   暗殺その7 『ファイナル・ファントム2』

 ちゃらららららららん♪ でででででででで♪ でででででででで♪(前奏)

 インフェルノの追っ手             エレン 512/512
 インフェルノの追っ手             キャル 256/256
 インフェルノの追っ手             玲二  128/128

玲二「インフェルノの追っ手だ! みんな行くぞ!」
キャル「お〜!」
エレン「……」

エレン  こうげき
    >じゅうげき >コルトパイソン >玲二
     どうぐ
     ぼうぎょ

キャル  こうげき
    >じゅうげき >ステアーAUG >玲二
     どうぐ
     ぼうぎょ

玲二「ちょっと待て! 何で俺を狙う」
キャル「え? だって玲二が一番体力無いじゃん。だから、あたしらが攻撃し
   て体力を増やして上げようかと…」
エレン「…そう言うレベルアップ方法のゲームじゃ無いの? これって…」
玲二「違うっちゅうの! それなら肉弾攻撃でやってくれよ。銃でやられたら
  即死だろ!」
キャル「え〜、そんなのつまんな〜い」
エレン「…チッ……」
玲二「お前ら……」

 元ネタ FF2(笑)

                       (投稿者 Foolさん)


   暗殺その8 『苛烈な訓練』

 「案外、当たるもんだね」
 僕は思ったことを口にした。
 初めての銃の訓練で、2発に1発は当たった計算だ。
「最終目標はね」
 アインは言って、銃をシンダーブロックに向けた。
 銃声が6発、途切れなく鳴った。
 いや、6発、と分かったのは銃に6発しか入っていない事を知っていたから
で、そうでなければ何発か分からなかったに違いない。
 2秒……たってない。
「これくらいできるようになってもらわないと」
 言って、アインはきびすを返した。
「ついてきて」
 言われるままに、工場内に入る。アインは淀みない足取りで、工場の隅に置
いてあるモニターの前に立った。
 ん? ……こんな大きなモニター、ここにあったか?
「これを」
 渡されたのは、白いプラスチックの銃。いや、銃……なのか?
 奇妙な形。ボタンにこれは……十字キー? それにコードが銃杷の下から伸
びていて、四角い箱のような物につながっている。
「アイン、これは……」
「最初はミッションモードでやって。傭兵レベルでクリアできるようになった
ら、シナリオモードノーコンティニューが最終目標よ」
 言って、アインはモニターの電源をつけた。そして、コードがつながってい
る箱のボタンを押す。
「伝説的なシミュレーションよ。続編だけど。これをノーコンティニューでク
リアできた者には、間違いなく勇者の称号が贈られるわ」
 そしてモニターに映った文字は───
 

 ───デス・クリムゾン2。

「根性出せよー」

                         (投稿者 昂河さん)


   暗殺その9 『GUTS!!』

「…………ふぅ」
 ここんとこ何故か苛立つ。ストレスかな……。
「……どうした、ツヴァイ」
「…………リズィか」
「落ち着かないようだね、ストレスかい?」
 リズィにもわかるか、重傷だな。
「……ああ」
「よし!じゃあいいところを紹介してやるよ」
「いいところ?」
 俺が聞き返したら、リズィは胸を張って答えた。
「ああ、最高だぜ」

 ……こうして俺はリズィが教えてくれた場所に行くことになった。
「……ここって……」
 確か…………。
「ああ。今度インフェルノが建築するビルが建つ予定の場所さ」
 ……だよな。
 でも、まだ更地だぞ。
「ここで何をやれって言うんだ?」
「決まっているだろ? 肉体労働さ」
 ………………は?
「じゃあ早速ここのリーダー紹介してやるよ」

「……待て、これは『暗殺者への道』じゃないのか?」

              Theガッツ〜インフェルノでガッツ!〜 完

                     (投稿者 もりたとおるさん)


   暗殺その10 『遠い記憶』

「……………………」
「どうしたんだ?」
「夢を見ていたわ、昔の夢」
「へえ、どんな?」
「あなたと初めて会った日の夢」
「ああ、俺に「宣告」した日のことか」
「ええ、言ったわ「あなたは坪井、二番目の振り子」って」
「…………かなり違う」

                     (投稿者 もりたとおるさん)


   暗殺その11 『待ち合わせ』

 今日はバーでアインと待ち合わせだ。
 ターゲットはここの常連。
 …………そろそろ時間だ…………。
「ツヴァイ」
 さすが時間に正確…………うっ!?
「……お、おい、その格好……」
 何故うさぎ(バニー)さんの姿をッッ!
「潜入していたから」
「そ、そう…………」
「ターゲットが到着だわ。行くわよ、ツヴァイ」
 ………………俺は今回ほどサイス=マスターに礼を言いたいと思ったことは
ない!(血涙)
 一生ついていきます!

 暗殺者への道は遠い。

                     (投稿者 もりたとおるさん)


   暗殺その12 『お寒い・DE・ショー』

フィーア「さぁ、今日も『お寒い・DE・ショー』の時間がやってましりまし
    た! まず一組目はこのコンビです!」

ズィーベン「ズィーベンで〜す」
ゼクス「ゼクスで〜す」
ズィーベン「二人合わせて『マルチとセリオ』で〜す」
ゼクス「おいおい、ゲームちゃうやん」
ズィーベン「じゃ、『ひなたんとみかか』で〜す」
ゼクス「なんでやねん! …まったく阿呆な事言ってないで、ちゃっちゃと先、
   進めるで〜」
ズィーベン「イエッサ〜!」
ゼクス「そう言えば、この前、隣の家に塀が出来たんだってね」
ズィーベン「学園天国!」
ゼクス「へ? 何で?」
ズィーベン「ヘ〜イ ヘイヘイ ヘ〜イヘイ♪」
ゼクス「ズコッ! アンタとはやっとれんわ!」
ゼクス&ズィーベン「どうも、ありがとうございました!」

フィーア「はい、それでは審査員の皆様、点数をどうそ!」

フュンフ「0点」
ノイン「0点」
アハト「0点」

フィーア「素晴らしい! パーフェクトです! 今回の優勝者はゼクスさんと
    ズィーベンさんで〜す!」

ゼクス&ズィーベン「なんでやねん!」
 
 

サイス「お前達…こんな事をして楽しいのか?」
一同「いいえ、全然」

(各キャラの名前と顔が一致しない方は、こちらへ) 

                          (投稿者 Foolさん)


   暗殺その13 『快傑ファントム』

「ちょっとぉ! あんたたちどーいうつもりよ! あたし達になんの用!?」
「お前みたいなうるせえだけのメガネに用はねぇ。用があるのはそっちのおじ
ょうさんだ。」
「なにをするんですか、やめてください!?」
「恨むなら、てめぇの親父を恨むんだな」
「!? …私に父はいません!」
「うるせぇ! ブラディーズの勢力拡大には、てめぇの親父が邪魔なんだよ!
 おとなしくついてきてもらおうか!」

 そこへ流れてくる、どこか物悲しいギターのメロディ。

「何者だ! てめぇ!」
「…私立探偵、吾妻玲二。あんたらが最近幅を利かせてるブラディ−ズの皆様
方ですかい?」
「…だとしたら、どうする。」
「ほぉ、ブラディ−ズ用心棒のランディさんですか…」
「…俺を知っているのか?」
「有名ですからねぇ、元特殊部隊所属であらゆる武器に精通、特に射撃には定
評がある…ただし!」
 二本指を立て、顔の前にかざす。
「その腕前は、日本じゃぁ二番目だ。」
「…なんだと、なら日本一は誰だ!」
 ランディの問いに、ヒュウと口笛を吹き、顔の前でちっちっちとふってから、
自信たっぷりに、玲二は自らを指差す。
「面白い…ならば!」
 ランディが、やにわにスナイパーライフルを取り出し、一発発砲する。
「これを見ろ!」
 ランディが投げ渡した双眼鏡を覗き込む玲二。そこには、東京タワーのてっ
ぺんにはためく日の丸の旗の中心に、メジャーで測ったかのような正確さで、
弾痕が穿たれていた。
「そ、そんな、10kmは離れているのに…」
「ふん、日本一にはこういうことができるんだ。それとも、お前にはこれ以上
のことが出来ると言うのか!?」
 ランディの嘲りまじりの恫喝に、ヒャハハと笑う手下達。
「…ライフルを貸してもらおうか。」
 手下からライフルを受け取ると、銃口を上に向け、目を閉じる玲二。
「…なんの真似だ、それは!?」
 真上に向けて発砲する玲二。くるりとライフルを回転させると、手下の一人
に投げ渡す。
「…空なんか撃って、気でも狂ったか!」
「上からくるぞ、気をつけろ。」
 玲二の一言から上を見たランディが一瞬にして青ざめる。
 一同の目の前に落ちてきたのは、旅客機の物と思しきエンジンポッドだった。
「…これでどちらが日本一か、おわかりいただけたかな?」
「…くっ! 憶えてやがれ!」

「それでおめおめ帰ってきたというのか! 貴様それでも悪の大組織インフェ
ルノの一員か!」
 インフェルノ首領「首領M」が、ブラディーズのボス、アイザックを一喝す
る。
「申し訳ない、首領M、訳のわからんヤツが邪魔に入って…」
「言い訳など聞かぬ!」座っている椅子のボタンをポチッと押すと、机からマ
シンガンがせり出し、アイザックに向かって発射される。
「よいか! 梧桐組を乗っ取る為にはあの小娘が必要なのだ! 邪魔するやつ
は殺せ、それも苦しませて苦しませて、苦しませた上で殺すのだ! それが悪
の大組織インフェルノのやり方だということを、思い知らせてやるのだ!」

「大変です、吾妻さん! こんなものが…」

「お前の親友は預かった。返してほしくば藤枝美緒一人で、地獄ヶ原まで来い
 ブラディ−ズ」

「別にあんなメガネどうでも……いや! ブラディ−ズめ、なんて卑怯な真似
を!」
「…吾妻さん。」
「待っていてくれ、君の親友は必ず俺が取り戻す!」
「本当に大丈夫なんでしょうね…」
「心配はいらない、待っていてくれ…いや、本当に。」

 地獄ヶ原。どことなく採石場を思わせる、殺風景な場所である。
「ブラディーズ! どこだ! 出て来い! メガネを返してもらうぞ!」
「ふふふ、やはり来たな、吾妻玲二!」
 なぜか崖の上から現れるアイザック以下ブラディ−ズの面々。
 そして、さらになぜか十字架にはりつけにされているやかましメガネ。
「早苗って名前があるのよ! あたしには!」
 誰も聞いていない。
「さぁ、おとなしくしてもらおうか? 吾妻玲二!」
 ところが、そこへランディが引っ張ってきたのは美緒だった。
「なんで美緒さんがこんなところに!?」
「…どうしても、心配だったから…」
「飛んで火にいる夏の虫とはまさにこの事よ! ひっとらえろ!」
 アイザックの号令と共に襲いかかる手下。ボコられる玲二。
「連れて行け!」
 あざだらけになった玲二と、美緒を引きずるように連れて行くブラディーズ。
「…ちょっと、あたしはどうなってんのよ!」
 崖の上には、十字架が一個残っていた。

「さあ、吾妻。てめぇには死んでもらうぜ」
 ダムの上まで連れてこられた玲二。手足をしばられ、顔には青あざが浮いて
いる。
「俺をどうする気だ…?」
「この小娘を誘拐したあげく、自殺したという筋書きよ、このダムの上から飛
び降りてもらうぜ」
「なんだと!」
「冥土の土産に教えてやろう、この小娘はなぁ広域暴力団「梧桐組」の親分の
隠し子よ。こいつをネタに、俺達ブラディーズが梧桐組を乗っ取ろうって寸法
なのよ。」
「なんて卑劣な真似を!」
「さぁ、おねんねの時間だぜ! あばよ!」
 ダムの上から、人形のように落とされる玲二。
「ふふふ、これで邪魔者はいなくなったな、引き上げだ!」
 その背後から、爆音が聞こえる。
 ジェット機のような甲高い爆音が。

「フライトスイッチ、ON!」

 BMWのコンパーチブルに巨大な扇風機のようなプロペラと、ロケットポッ
ド。
ボンネットには申し訳程度についた羽根を広げた、どう考えても空力的に飛び
そうに無いモノが、アイザックたちの目の前に飛んでくる。
「な、なんだあれは!」
 操縦席から立ち上がったのは、タキシードを模した革つなぎのような全身タ
イツに、ヘルメット。
 顔には謝肉祭のマスケラを貼り付けた、言い訳できないほど怪しい男だった。
 手にしたムチをふるい、美緒に巻きつけると、手許へと手繰り寄せる。
「あなたは…?」
 怪人は答えず「早く逃げろ」とばかりに美緒を促す。
 あっさりとその場を逃げ去る美緒。
「何者だ! てめぇは!」
 怪人はハッハッハと笑うと、やにわにポーズを取り出した。
「ファントム参上、ファントム解決。人呼んでさすらいのヒーロー!」
 大きく見得をきる。

「快傑ファントォォォム!」

「快傑ファントムだと!?」
「罪も無い人々を苦しめか弱き少女を連れ去り、あまつさえ吾妻玲二に濡れ衣
を着せようとしたブラディーズボス、アイザック! 許さんッ!」
 言うが早いが手にしたムチで、片っ端から三下をしばきたおすファントム。
「くそ! ランディ! ランディ!」
 ランディがその巨体を揺らし、マシンガンの雨をファントムに向かって浴び
せる。ファントムはムチを振り回し銃弾を片っ端から弾き返す。弾かれた弾丸
は、なぜか縦一列に積み上がっていく。
 マシンガンの弾が切れたところで、風のようにランディの懐にもぐりこみ、
滅多打ちにして倒してしまうファントム。
 ランディの倒れた向こうに、逃げ去ろうとするアイザックが見えた。
「逃がさん!」ファントムがムチを振るうと、アイザックの首筋に絡みつく。
 そのまま引きずり寄せるや否や、ファントムはアイザックの襟首を引っ掴み、
叫んだ。
「二月二日! キャル・ディヴェンスという娘を殺したのは貴様かぁッ!?」
「知らねぇ! そんなヤツは聞いた事もねぇ!」
「嘘を付くなぁぁぁッ!」
「知らねぇ! 俺はその日、べガスのカジノで100万ドルすっちまったんだ!
 調べればわかる!」
 答える間もなくアイザックを張り倒し、天高くジャンプするファントム。
 空中でひねりを加えつつ宙返り。そのまま飛び蹴りの体勢で落下する。

「ファントムッ・アタァァァァックッ!!」

 飛び蹴りは喉元を抉るように炸裂し、アイザックは昏倒した。
 タイマーがタイムアップを告げると共に、マスケラがストンと落ちて真っ二
つに割れる。
 その下から現れた素顔は玲二のものだった。
「キャル…こいつでも…なかった。」
 玲二の脳裏に、爆破されたロフトの映像がフラッシュバックする。
 マフラーを直すと共に彼方からパトカーの団体がやってくる事を示す、サイ
レンの大合唱が聞こえてきた。
 ファントム…玲二は、一枚のカードを取り出すと、アイザックの胸元に投げ
付けた。

「この者、極悪誘拐犯人」

 無数のパトライトが閃く中、そのカードにやり切れぬ思いを馳せて見つめる、
長身に褐色の肌の女性の姿があった。
「ツヴァイ…」

「吾妻さーん…」
 沈む夕日の向こうに、吾妻玲二の面影をみて、美緒が川原の土手から叫ぶ。
 夕日は答えることなく、静かに沈んでいった。
 

 次回予告

 キャルが生きていた!?
 信じられない情報を得た玲二は、その情報を求めてとある町に駆けつける。
 しかし、目の前に現れたのはマフィアの女用心棒だった!
 凄腕の女ガンマンは、キャルを殺した犯人なのか?
 絶体絶命の危機に、ファントムのムチがうなる!
 次回「快傑ファントム」
「生きていたキャル! 悲しき再会!」にご期待ください。

 ファントムの真似は危険ですから、絶対にしないでね。
 

 元ネタ 快傑ズバット

                       (投稿者:SOMEさん)


   暗殺その14 『待ち合わせ その2』

 何時狙撃されるか判らない窓際の危険な授業時間が終わり、食堂に向かう俺
の背に早苗の声が届いた。
「あ、やっと見つけた。玲二、あんたにお客さんよ」
「客?」
「なんだかよく判らないけど、向こうの学校で担任だったっていうヒト」
「……」
「――確かギュゼッペさんって言ったっけ」

 中庭にいる銀髪の異国人は存分に注目を集めていた。
 通りすがった学生は皆、一様に好奇の視線を残していく。
 そこには――、
 

 中庭を『バカ歩き(シリー・ウォーク)』で闊歩しているサイス=マスター。
 

「…………ねぇ、あの人ホントにあんたの知り合い?」
「………………他人だ(どキッパリと)」
 

 元ネタ 言うまでもなくモンティ・パイソン(笑)

                         (投稿者:西山英志)


   暗殺その15 『別世界への誘い』

「はあ……はあ……はあ……」
 逃げられない!
 だけど……逃げ切るしかないんだ!

「…………あ」
 目の前に現れた影。
 影は一人の少女の姿をとった。
「くっ…………」
 ここ……までか……。
「………………」
 少女が口を開く。
 死の宣告…………それは
「…………私は(邪魔)者を討つ者だから……」
「…………違うゲームだろ、それ……」

 番外
「あははーーっ、玲二さんはキャルのものですーっ」

 …………声、意外に合うかもしれないわ、コレ。

                     (投稿者:もりたとおるさん)


   暗殺その16 『ザ・ファントム』

 古びた礼拝堂。
 その中で祈りを捧げている少女。
 やがてその口元から、賛美歌の一節が流れ始め…

「やめろ! 賛美歌を歌うな!」

 突如として落下してくる「16t」の刻印もあざやかなヘビーボム。
 無情にも下敷きになる少女。

「遅かったか、貧乳娘はぺちゃんこになっちまった。」
 

 元ネタ モンティ・パイソン「ザ・ビショップ」

                       (投稿者:SOMEさん)


   暗殺その17 『かのんあれんじ』

「もうこんなことする必要なんてないんだ」
「……………………」
「銃も捨てるんだ」
「……捨てられない」
「いや、捨てるんだ」
「……………………」
「銃なんてもう必要ないんだ」
「……捨てたら玲二に迷惑がかかる」
「いいんだよ、いくらでもかけてくれ」
「……銃を捨てた私は本当に弱いから……」
「…………嘘つくんじゃねー……」

                     (投稿者:もりたとおるさん)


   暗殺その18 『届かぬ、想い』

 私はいつもあの人のコトを考えている。
 あの人に出逢った頃の印象は今でも憶えている。暗い地下室で私達は出逢い、
彼のあどけない年相応の顔の瞳に潜んだ『暗殺者』の匂いが私の心を震わせた。
 このひとなら、きっと――。
 私は彼を『暗殺者』への道へ誘った。
 憎まれるかもしれない。当然だろう。だが私は憎まれても側にいて欲しかっ
たのだ。個人的なワガママだと知っていながら。私は感じていたのだろう。
 ――このひとこそ、私の『運命の人』だ、と。
 
 そして、あの港での銃撃戦。
 私の胸は早鐘を打っていた。息が途切れ途切れになる。
 それが切なさの為なのか、疲労の為なのか、そんなことは解らない。
 彼の足音が聞こえる。かなり近くから。
 私は銃を片手に走り続けた。――彼に逢いたい。その一心で。
 彼の足音が近付く。私の背後から。
 ――そして、
 彼は銃を向けて、私の名前を声の限りに叫んでくれた。
 
 

「サアアアアアアアアアアイイイィィィィィススススッッ!!!」
 
 
 

「と、ゆーことでツヴァイっ! 私の愛を受け取ってくれええええッッ!!」
「近寄るなあああああああああああああッッ!!」
「何故だッ! 私の心はこんなにドキドキ(はぁと)しているのにッッ!!」
「ソレはチョット違ううううううううううううッッ!!」
「待ってくれえええええええええええええええッッ!!」

 余所者そっちのけで追いかけっこをしている二人を見つめながら、アインは
リズィと顔を見合わせる。
「…………殺していい?」
「アタシも手伝うよ」
 そう言いながら二人は銃の安全装置を外した。

 どっとはらい。

                         (投稿者:西山英志)



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